2010年6月15日火曜日

尾底骨打撲

 元気な奥さんで、ニックネームが「トイレの100ワットの電球」と言われている。無駄な明るさが売りである。
 ある日階段を下から7段くらいのところで足を踏み外して、ダッダッダッとお尻を打った。ギャーとなってしばらく動けなかった。
 その日は、痛くて眠れずに、翌日お医者さんに行ったら、骨はなんともなくて尾底骨打撲で、痛み止めと湿布をもらい、根性で仕事をした。
 5日くらいたってから、来院したが、お尻が痛くて眠れないと訴える。立っていても大変、歩くのも大変という状態だった。仰向けでお尻がベッドに当たると激痛が走ってその姿勢にはなれない。
 うつぶせになって、触れるだけで痛いと叫ぶ。アイシングを2回ほどして帰した。痛みがひどくて、触れることを体が拒否する。
 2回目も、痛みが変わらない。どこからアプローチするべきか、話しながら考える。どういう状況で踏み外したのか。尾底骨の前に坐骨が打撲して、体を支える、動く時に働く骨盤の関節(仙腸関節)が影響を受けているはずとやさしく検査と同時に治療を行う。左側を強く痛めていて、右側がやっと支えているという感じだ。
 3回目からは、糸口が見えたので、少しずつ壊れたところを固める作業に入った。そうすると体が悲鳴をあげていたのが、徐々に緩和されていった。その晩は久しぶりにぐっすり眠れたという。
 過去に経験したことのない症例だったので、かなり用心しながら手探りで可能性を見極めていった。
 治療中、あまり声が大きいので、何かひどいことをしているような錯覚になった。